人が立ち入る点検からリモート検査へ。バラストタンクの内部を切り出して示した貨物船の図と、ウェブフレーム・ストリンガー・進入口の中を点検するNolvis X1
人が立ち入る点検からリモート検査へ。Nolvis X1がバラストタンク内部のウェブフレーム・ストリンガー・進入口を、人を中に入れずに確認します。

屋内・狭小空間の点検に特化した産業用ドローンメーカーのNolvisは、ビューローベリタス マリン&オフショア(Bureau Veritas Marine & Offshore、以下BV)が、リモート検査業務において当社の点検ドローン「Nolvis X1」の導入を進めていることをお知らせします。

Nolvis X1の活用は、BVのリモート検査技術(Remote Inspection Techniques、以下RIT)による、より安全で効率的な船舶・オフショア設備の検査を後押しするものです。本取り組みは、9月1日から4日までハンブルクで開催された国際海事見本市「SMM 2026」で紹介され、BVブースにNolvis X1が展示されたほか、Nolvisによる狭小空間点検のデモンストレーションも行われました。

背景

Nolvisは、最新の屋内・狭小空間点検ドローン「Nolvis X1」を中心に、産業用ドローンとソリューションを開発しています。GNSS(衛星測位)が届かない暗所でも安定して飛行できる技術を強みとしており、この技術へのニーズは特に海事分野で高まっています。

大型船舶では、バラストタンク、貨物倉、ボイラー、煙突など、内部の設備や空間の多くが狭小空間にあたります。こうした場所は照明がないことが多く、衛星測位も使えないうえ、酸素欠乏、有毒ガス、高湿度、高温といった危険を伴う場合があります。従来の点検では、足場の設置、ロープアクセス、酸素濃度を回復させるための換気、立ち入り許可の取得など大がかりな準備が必要になることがあり、コストがかさむうえ作業も煩雑になります。

こうした課題に対応するため、BVは、専門の検査員(サーベイヤー)の知見に、ドローンによる点検とデジタル技術を組み合わせた先進的な検査手法としてRITを開発しました。RITによる検査では、有資格の検査員がドローンを使って狭小空間や危険な場所の点検データを取得し、検査結果の判定には引き続き検査員が全責任を負います。テクノロジーで検査員の目が届く範囲と精度を広げつつ、判断の中心にはあくまで人の専門性を置く仕組みです。

RITは、狭小空間への立ち入りを減らし、点検の効率を高め、船舶やオフショア設備の運用への影響を最小限に抑えることに役立ちます。あわせて、船主やオフショア事業者に高品質な点検データを提供し、保守や資産管理に関する意思決定を支えます。

取り組みの概要

Nolvisは、フランス、トルコ、ギリシャ、デンマークをはじめとする複数の拠点へのNolvis X1の導入を通じて、BVのリモート検査業務を支援しています。Nolvis X1で取得した画像と3Dデータは、各設備の形状とひも付いた計測可能な記録となり、体系化されたデジタル点検記録の作成と、長期的な設備健全性の管理に役立ちます。

「Nolvis X1」について

「Nolvis X1」は、屋内や狭小空間での使用を想定して開発された機体です。

  • 進入性:機体の幅は約40cm。大型の機体では通れない16インチ(406mm)クラスのマンホールやハッチを通り抜けることができます。
  • 暗所での安定飛行:自社開発のLiDARと前方ビジョンセンサーにより、GNSSが使えない場所でも機体が安定するため、専門の操縦者でなくても短時間のトレーニングで操作できます。180°チルトする4Kカメラと10,480ルーメンのLEDライトを備え、真上方向も含めて点検に使える品質の画像を撮影できます。
  • データの利活用:飛行のたびに3D点群を記録し、業界標準の.LAS形式で書き出せます。データは、閲覧・注釈付け・レポート作成・共有をブラウザ上で行えるプラットフォーム「Nolvis X Cloud」で一元管理できます。

製品ページ:Nolvis X1

SMM 2026のビューローベリタス ブースで、Nolvis X1を前に握手するビューローベリタス マリン&オフショアとNolvisの担当者
ハンブルクで開催されたSMM 2026にて。ビューローベリタス ブースにNolvis X1を展示しました。

コメント

海事業界は、タンクや貨物倉に人が入って点検するやり方から、リモート検査へと移りつつあります。私たちはビューローベリタスとともに、この転換を実際に運航中の船舶で実現しています。ドローンが中に入り、人は外にとどまり、最終的な判断はこれまでどおり資格を持つ検査員が下します。もはやデモンストレーションの段階ではなく、実際の点検がこの形で行われ始めています。 — Nolvis

Nolvis X1の導入は、より安全で、よりスマートかつ効率的な検査を目指す当社の取り組みを後押しするものです。RITを通じて先進的なドローン技術と当社検査員の専門性を組み合わせることで、狭小空間への立ち入りを減らしながら高品質な点検データを提供し、お客様の設備健全性と運用パフォーマンスの管理に役立てていただくことができます。 — ビューローベリタス マリン&オフショア

今後の展望

Nolvisとビューローベリタスは、狭小空間点検技術のさらなる発展に向けた取り組みを今後も検討していきます。将来的には、目視・3Dの点検データに加え、超音波による板厚計測(UT)機能の統合も視野に入れています。これにより、リモートで取得できる情報の幅をさらに広げ、船舶・オフショア設備の検査手法の進化を後押ししていきます。